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大谷田就労支援センターの支援の考え方や普段の様子を載せていきます!

名もなき支援者連絡ノート 日記

2014年06月27日 ニーズを生み出すこと

先日は、失礼な発言をしまして、大変申し訳ありませんでした。最後に私の気持ちを伝えさせていただきましたが、改めてノートにて書かせていただきます。

確かにご家族が話されていましたように、センターに通うことで安心され、ずっと長く居場所があることが、ご本人にとってもいいことなのは確かです。私もそう思います。ただし、私が気になっていることは、ご本人は何を本当にやりたいかということを、私も含めたご本人に関わる全ての人々が、周りの事情で決めつけてしまっていないかということと、そのことによって、ご本人の成長の機会や、社会参加の機会や、知ること、体験することができたはずなのに、その機会を奪ってしまっていないかということです。

ご家族のご意向は、ご家庭の事情によってどうしても考えなければいけないことがあるのは、承知しています。ご家族の意向で、ご本人の人生の進路まで決めてしまっていいのかと考えます。

ご本人の今回の事情とは関係ありませんが、我々のセンターからこれまで数十名の方々が就職されました。中には、自分は就職なんてできないと思い込んで、センターに入ってきて、私の方からチャレンジしてみませんかとうかがって、実習を体験してみるということから始めました。実習を行ってみると、会社の方から雇用したいとうれしい結果をいただけました。一番驚いたのはご本人でしたが、考えていただいて就職することを決断しました。就職してから何年も経ちますが、今でも生き生きと働いていらっしゃいます。社会の中で社会と繋がっていることで、自分自身が何かの役に立っていることで、自分というものが認められ、その成果と居場所があることが、生きがいとなっているのだと思います。センターにいたときは、おとなしい方で、何か話しかけてもすごく控えめな方でした。たまに会社に訪問させていただいて、ご本人とお話しすると、楽しそうに「○○の仕事を任された」とか「○○の仕事が忙しいんだよ。残業ばかりでさ~。」と言われました。これまでの就労者すべてが、やはりセンターにいた時と比べ、仕事への意識や社会人としての自覚、ご本人の満ち溢れた雰囲気などが変わっていますし、就職して不満足感を抱えている方は一人もいません。

この事例の方も最初は、自分は障がいがあるから就職なんてできないと、自分自身で決めつけていました。しかしセンターに入ってから色々な仕事を覚えて、文句ひとつも言わずに毎日通って、安い工賃で働いていただいていました。仕事の能力はありますが、積極的になれないことから、私は、就職の選択肢を提案し続けました。そのころから、ご本人の就労後のイメージをはっきり描けていたから、ご本人に気づいていただきたかったのです。時間はかかりましたが、ご本人は自分で選択して、決断してもらいました。

大谷田にいる方々で、明確に自分は就労がしたいと思っている人は意外と少ないです。将来できたらいいなーとか、支援員に言われたからやってみようかなとか、センターが就職をさせてくれるんですよね。というような方々がほとんどです。自分が就労できる自信があり、そのための就職活動を自ら行える方は少ないです。

だからこそ、我々は就労への道筋を作る過程をご本人に体験いただきながら、隠れたニーズを生み出していくことが必要になります。就労したい・就労したくないでは判断できないのです。そもそも社会もまだまだ障がい者の方の就労に対して理解が少ないため、自分たちが就労できるなんで思えないのです。一番近くにいるご家族が、ご本人に就労できないと思っていれば、ご本人も前向きに考えることはできませんよね。

就労できるか・できないかを「知る」過程が必要です。

そのためにはいろいろなことを知らなければなりません。いろいろな選択肢を知って初めて、自分は就労ができる・できないの判断ができます。ご本人やご家族が情報が全くない中で、障がいがあるから、就職できないと決めつけるのは、答えを出すタイミングが早いと思います。

先日、失礼なことをお話しさせていただきましたが、今のご家庭としての生活は安定しているかもしれません。選択肢を持っていないご本人の生活がそれでいいのでしょうか。選択肢を持って、吟味してから、ああやっぱり今の生活がいいと思ったのなら、私も納得します。働く能力がある方に選択肢を提供していくことも我々の役目ですし、ご本人が就職できないと決めつけていることに対し、能力があることを伝えず、選択肢も提供しないことは機会を奪っていることになります。

このような想いがあって、お話しさせていただきました。 大変失礼しました。