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大谷田就労支援センターの支援の考え方や普段の様子を載せていきます!

名もなき支援者連絡ノート 日記

2013年07月02日 先入観

ご質問ありがとうございます。ご家庭でどういう能力をつけることで就職できるかということですが、どんなことでもかまいませんが、ご本人ができること、自信を持って取り組めることから始めていただき、どんどんできることが増えるようになればいいですね。

ただし、これはどのご家庭や支援者にもいえることですが、「先入観」で見てしまっていて、できるはずのことをできなくさせていることがあります。

先日、私自身も深く反省しなければならないことがありました。センターに実績豊富な就労支援のエキスパートの方が見学にお越しいただいたことがありました。センターの就労訓練の様子や、就職希望者個々人の訓練内容や特徴の説明などをさせていただきました。その説明の中でふと、「あの方は何(の作業)をやっているのですか?」と質問されました。その時は就職希望者の方だけ説明をさせていただいていました。その方は就職希望者ではありませんでしたので、紹介はしていませんでした。遠目からその方の作業を見て、何か感じるものがあったのだと思います。

Aさんは、仕事の能力も高く、コミュニケーション力も豊かで、バリアフリーやサポートの条件さえ整えば、すぐにでも就労できるような方です。その条件が非常に厳しいことをAさん自身も認識していたので、自らも就職は視野にありませんでした。私は、Aさんであれば、条件さえ整えば必ず就職できるとは考えていたものの、その条件が整うのを待っているのみでした。私はそのままのことを説明させていただきました。

エキスパートの方は更に、「○○(の方法)だったら働けるよね。そのサポート体制はどうなっていますか?」私は、その方法を知ってはいたものの、Aさんに有効だと気付いてはいたものの、自らの先入観で、Aさんには不向きと判断していたのです。Aさんが就労できる条件でないと難しいと「先入観」で決め付けてしまっていたのです。

就労支援は奥が深いことを改めて気付かされました。可能性を見出して、ご本人と一緒に目標に向かっていくことを常にどの方にでも、どの場面にでも求められています。ちなみにAさんとはその日に話をして、一緒に可能性を考えてみることから始めました。

このような例でなく、ご家族の皆様、支援者側にも多くの「先入観」によって、ご本人の可能性を周りの人が潰してしまっていることをよく見受けます。ご本人の為と思って、「Bさんは○○だからできない」「Cさんは△△の障がいだから□□の作業はできない」など言われていることがあります。実際、私の事例を見ても、自分自身が気付かないうちに決め付けてしまっているのです。あたかも自分の答えが正しいと思い込んでしまうというやっかいなおまけ付きで。

ですから、「○○でないと」という考えが皆様もおありでしたら、その時は再度、他の方法はないか、他者に意見を聴くなどして、自らの考えを振り返っていただければと思います。「この方は○○でないとダメ」ということは、ほぼありえません。それはご家族や支援者が決め付けてしまっていることです。

 もう一度考えてみてください。

「○○でないとダメ」というのは、先入観です。それは、ご本人の可能性を抑制してしまっています。