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大谷田就労支援センターの支援の考え方や普段の様子を載せていきます!

名もなき支援者連絡ノート 日記

2013年02月25日 支援者とは その2

前回、「支援者とは」ということで少しお話しさせていただきました。今回はその続きです。

実習の場面では、どのように支援をしていくかという場面が限定されてしまうので、基本的な考え方を理解していくことが重要かと思います。

障がいのある方が主体者として問題解決や課題の軽減を図り、どのように働いたり、生活を送りたいかを自分自身で決められるように支えていく、そのための選択肢と自己決定を保障すること、これが支援者の役割です。問題や課題を抱える人が、出来ることは自分で行い、出来ないところだけ助けてもらうということです。

ここには福祉サービスの考え方も含まれます。支援者が何でも手を出し口を出し、障がいのある方に代わって何でもやってしまうのでは何の問題解決にもなりません。このような与えられるサービスではなく、支援者がご本人の可能性や意欲、やりがいといった主体性を引き出し、自己選択と自己決定によって自己実現を成し遂げていきます。たとえ重度の障がいの方や認知面での課題のある方もその人なりの可能性なり自己実現があるはずです。そしてご本人が自己選択や自己決定をするということは、必ず自己責任を伴います。ご本人が自己責任を自覚できる支援を行うことが重要です。

その役割の上で、支援者は障がいのある方のパートナーです。ご本人が主体的に行動するのを支える人になります。障がいのある方が出来ないことがあると、支援者が手を出してしまい代わりに行っていくと、ご本人は依存的になります。つまりは、障がいがある方を依存的にさせているのは支援者なのかもしれません。誰もがそうですが、誰かにしてもらうことが当たり前、何も言わずとも誰かが代わりにやってくれる環境の中で育つと、依存心を助長させ、自ら主張したり、問題を解決する力が育たなくなります。「福祉」というと、「何かをしてあげる」「助けてあげる」というイメージがあるので、その考え方を支援者が持っていると、支援の課程で必ず躓いてしまいます。

このような依存的な関係ではなく、本当の信頼関係をつくっていく課程が必要です。この信頼とは障がいのある方が支援者に対して安心して相談できる、介護を任せられる、この人なら一緒にできる、と感じ取り、支援者も信頼されていると感じている関係ができ、ありのままの自分でいられることです。これは支援者側からの一方的な押しつけや、指示などの権威的なものではなく、仕事を覚えていくことや生活を組み立てていく時のパートナーの関係です。しかし、仕事の中ではミスの改善や生活習慣の改善など、厳しいことを言う必要がある時もあります。無理な要求には応えられないこともあります。しかし、お互いに信頼関係があり、きちんと順序立てて説明すれば理解していただけるはずです。

この信頼関係の構築には何ヶ月もかかることが多いです。焦らず一歩一歩関係を作るための努力が必要です。支援者側が関係が出来ていると思っていても、相手は必ずしもそう思っていない場合もあります。我々支援者としても、相手の気持ちを全て理解することは不可能です。それでも障がいのある方の気持ちを理解しようと努力し続けることが必要です。一生懸命受け入れようとするだけではなく、支援者も自分をさらけだすことによって自分を知ってもらうことが大切です。支援者が障がいのある方を信頼することから始めて、伝え違い、思い込みなどの支援者の主観的な考えは排除して、ご本人がどのような関係を望んでいるかを見つけていく姿勢が大切になります。

お互いの関係を築く上での考え方のポイントとして、支援者が相手を理解し障がいのある方と共に歩んでいくことがあります。ご本人から学んでいくという謙虚な気持ちで、ご本人の気持ちを感じ取り、その気持ちに理解を示すことから始めます。障がいのある方にとって信頼できる支援者とは、一緒に行ってくれる人、時間をかけて丁寧に説明してくれる人、時間をとって話を聴いてくれる人、つまり常に自分のことを理解しようと努め自分と一緒に行動してくれる人です。このように支援者は障がいのある方に対してしっかり向き合っていくことが求められます。これらの関係を作っていくことは長い期間が必要です。すぐに答えや結果を求めてしまうと、お互い苦しくなってしまいます。ご本人はどう考えているのか、どうしたいのかを一つひとつ聴き出し、「一緒に考えていきましょう」という姿勢こそが大切です。

お互いに慣れない期間は、コミュニケーションの中で、支援者が説教をしたり自身の意向を伝える際に説得をしようとすることもあります。ご本人に分かってもらおうと、こうあらねばならないと思い込んで、仕向けてしまうよう関わってしまいます。しかし、説教や説得は、一方的に職員の意向を伝えるだけなので、相手は根本的には納得していません。ご本人がなぜそうするのか、どう思っているのか、そのことによってどうなるのか、どのような状況が望ましいのかなどを一つひとつ一緒に模索することを行っていく必要があります。

支援者の価値観で物事を推し進めてはいけません。相手が納得できるようなコミュニケーションや解決方法を見出していきましょう。場合によっては、ご本人が選んだことに対して、少々の危険を冒す権利を認め、失敗することがわかっていても、それを見守っていく必要も生じてきます。ご本人が痛い体験をすることで、自分の経験として納得できることもあります。そこも含めて理解してみましょう。

だいぶ長くなりましたが、支援者とは「ご本人と一緒に歩いていくこと。」について、基本となる考え方を説明させていただきました。言葉にすると把握しやすいですが、自分自身がこのように行動をしていくとなると身に付くまで時間もかかると思います。大谷田の実習ではその基本的なことの一部しか触れられませんでしたが、これからは実際に現場の中で、色々な方との関わりを通して地道に学んでいってください。そしてこの経験を活かして成長をしてください。大谷田での経験は学校では学べない他の施設にはない特殊なこともあったかと思います。そのような中で働いている大谷田のメンバーの皆さんのファンになってあげて下さい。利用者の皆さんが社会の中で頑張っていることを広めていただけると嬉しいです。いつかどこかでまたお会いできることを期待しています。

皆さんなら、きっといい支援者になれると思います。