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名もなき支援者連絡ノート 日記

2012年07月24日 これからの生活・・・その3

お久しぶりです。先日ショートステイの見学をしてみたとのお話をお聞きしました。お子さんなりのペースで、第一歩を踏み出しましたね。

前回は、これからの生活を組み立てていくために、具体的な考え方や、基本的な関わり方のお話しをさせていただきました。一番重要なことは、ご本人が将来の生活をどのようにしていきたいかということです。今回の見学で今の生活や将来の生活を考えていくきっかけになると良いと思います。

よくご家族から、「この子は何もできないし、何も考えようとしなくて困っているんです。なんとかなりませんか。」とか、「この子の面倒は他の人ではみれません。この子のことを理解できる介助者がいないんです。」というような話を聞く時があります。

ご家族のお気持ちは重々理解できるのですが、「できなくさせてしまうこと・考えなくさせてしまうこと」というのは周りの人が、保護してしまって、ご本人に経験させなかったり、考えさせないで先に答えを伝えてしまったりしているからなんですね。

また、お子さんの介助一つとっても、この人でなければならないという環境を作ってしまうと、お子さんの新しい環境に適応する力を奪ってしまうことになります。特に長い期間ご家族のみと一緒にいるお子さんほど、新しい環境に出ようとすると、適応できずにストレスを抱えることになってしまいます。お子さんを守るために行っていることが、実はお子さんを社会に不適応にさせてしまっていることが多いと考えています。

そのため、今のうちから生活面や介助面でも色々な経験をしておく方が、ご家族ご本人共にメリットが大きいと思います。例えばショートステイを使ってみて、ご家族もこれまでずっとお子さんと一緒に過ごしてきて、短い期間でも離れてみるとご家族自身の生活の組立ができるようになったり、今後のことを改めて考えることができたりすると思います。お子さんは、自分ができていない部分があることを気付くことができたり、新しい経験をすることで、少しでも生活の力をつけることができます。

またヘルパーを利用することも、今までご家族で行ってきた介助方法以外にも活用できる方法を教えてもらえたり、ご本人も様々な介助者を経験していくことで、誰かに何かを依頼する伝え方を自然と学んでいきます。これはご本人が社会の中で生活する上で、最も重要なスキルですよね。周りの人全てが、ご本人の状態や気持ちを汲み取って介助してくれるわけではありません。行ってもらいたいことはきちんと伝えなければいけないことを知る必要があります。

あるご家族はグループホームを利用するのに、ご家族の中で利用する期間を○年と決めていらっしゃいました。この意味を聞いたことがあったのですが、お子さんができないことを知るだけでなく、生活する力をつけてきて、自宅でできることを増やしてもらいたいからと、お話しされました。この話を聞いた時、このような利用の仕方もあっていいなあと感心しました。自宅でも生活のスキルを付けることはできますが、やはり、ご家族が大半を行ってしまうので、ご本人が行う機会が持てません。グループホームなどで経験してから、ご自宅で何ができるかという考えもあっても良いですよね。

前回もお話しさせていただきましたが、これらのことはご本人が経験していくことで、できることできないことを感じていただいて、そのためにはどうすれば良いのかということを考えていかなければならないのです。自分の意志で選んで決めていくことを、小さなことから一つひとつ行っていかなければ、大きなことも自分で決めることができなくなってしまいます。この部分を、きちんと親御さんや周りの支援者が意識を変えて取り組まないと、ついつい口を出し手を出し、今までと変わらない、誰かがやってくれる生活の中で生きていくことになります。ご本人ができない理由は周りにあるということを自覚し、お子さんに小さなことから決めてもらうことを我慢をして待ってみてください。そして、決めたことを認めてあげて下さい。自分たちの意に反するからと言って口を出さないで下さい。

また、ただ単にご本人の希望を聞いて、その想いに対してアプローチをかけていくことだけというのも違ってしまいます。これは、我々は通常物事を選択判断していく際には、いろいろな情報やこれまでの自らの経験に基づいて判断を行うものです。ご本人からすれば、経験していないこと、知らないことを判断するのは難しいのです。よく言われる自己選択・自己決定ということを行うならば、ご本人に対して多くの情報・判断材料を提供し、経験やご本人の能力を踏まえて、自分で選び決めていくことを見守っていかなければなりません。

支援者もそうですが、実際にやってみると難しい面もあります。簡単なことではありません。ちょっと見ただけで、難しそうだからこの子には無理と決めつけないで下さい。そのようなことも我々も一緒に行わせていただきます。ご本人に対する情報提供や、見学同行などを行い、自分で選ぶことや決めていくための準備を行わせていただきます。

見守っていくことが、実はご家族にとっては一番大変な作業になります。不安や心配が常についてまわります。我々も同じ気持ちです。それでもご本人の経験や将来のためと考えて、一つひとつ向き合っていきます。ご家族の皆さんとも一緒に行わせていただければと思います。一緒に成長を見守らせてください。